北欧ホームズのブログ

北欧ホームズの断熱 壁編

北欧ホームズは出来る限りしっかりとした断熱をしようと開発をしてきました。 結果として外断熱で200mmのグラスウールを使う断熱等級7/HEAT20 G3という国内最高レベル、ヨーロッパクラスの仕様としました。

もう10年以上前でしょうか、たしか日経産業新聞だったと思うのですが、「ドイツのBASFが魔法瓶住宅を開発」という記事があったんですね。 ちなみにBASF社はドイツの巨大化学メーカーで、たくさんの製品を供給しています。 コンクリート業界的にはコンクリートに入れる減水剤といわれる薬剤などの販売をしています。

その記事で熱源は日常使う料理や電気製品の僅かな熱源だけですごせる。 と書かれていたのが非常に印象に残ってるんですね。

たまたま調べてましたら、魔法瓶住宅という商標争った記録があり、そこから少し引用させてもらいます。 2008年ですから15年前ですね。 ——— 「日経産業新聞」(2008年10月31日)において、「第1部走り出す欧州(4)BASFが『魔法瓶住宅』(低炭素社会への道)終」の見出しの下、「真冬には気温がマイナス一〇度を下回ることもあるドイツの冬。暖房なしで暮らすことなどあり得ない。そんな常識を覆す超省エネ住宅がドイツで生まれた。」、「『魔法瓶のような家』??。独BASF傘下の住宅メーカー、ルヴォーゲ(ルートヴィヒスハーフェン市)のマティアス・ヘンゼル社長は同社の『パッシブハウス』の特徴をこう説明する。/屋根裏や壁の内部には、厚さ数十センチメートルの断熱材がびっしり。使用する断熱材は発泡スチロールに黒鉛を混ぜることで保温性を高めている。」 ———

今改めてみるとパッシブハウスの事でしたね。 そんな事が出来るんだと思い、また最近のトレンドとして日本でも求められている事から高断熱住宅の開発へと舵を切りました。

断熱材の選定

初めは手探りでの選定でしたが、私たちの根本が防災企業であることから災害に強い事は大前提でした。

断熱材と防災

断熱材が絡んだ災害はイギリスのマンションで起きた火災が一番に思い出されます。 これは断熱改修、マンションの外壁に樹脂製の断熱材を貼り付けた工事の後に起きた火災でした。 断熱材の外側に外壁が設置され外壁と断熱材の間に通気層が準備された構造でした。

断熱材が燃えやすいグレードだったこともあり、火がついた断熱材はみるみるうちにマンションを包み込んで燃え上がりました。

  • 外壁があり直接断熱材に水をかけられなかった
  • 通気層がトンネルの役割を果たし、想像以上に燃え上がった。

この事件の原因を知り、樹脂系は出来るだけ使わないようにしようと考えました。 あと難燃系の材料であっても燃えにくいだけで、燃えるんですね。

燃えない断熱材

燃えない断熱材となると、グラスウールかロックウールとなります。 ロックウールは玄武岩もしくは鉄鋼スラグ、つまり鉄造りの残渣が原料。 グラスウールはガラスが原料。

どちらも製法は似ており、熱く熱し溶けた原材料を細く吹き出して糸状にします。 その後はバインダーと呼ばれる樹脂を糸状の原材料に絡め整形していきます。

そのためロックウールもグラスウールも火を近づければ樹脂部が燃え煙や臭いなどがでます。 しかしながらそのほとんどは燃えない素材であり、元々が石油の樹脂系断熱材とは比べ物になりません。

防災はもちろんSDGs的にもコスト的にも繊維系断熱材に軍配

樹脂系断熱材は繊維系断熱材に比べ、CO2排出量が多くなっています。 また、コストも繊維系に比べ数倍とかなりの差が出てきています。 樹脂系の良いところは、水に強くボード状のため外断熱に使いやすいことです。

ロックウールの検討

当初はロックウールを採用するつもりでした。 グラスウールに比べ水に強く、メーカーの提供する外壁を含めたパッケージがあったためです。 しかし、ロックウールを躯体に接着剤で貼り付け、通気層なしで外壁材を塗り込む工法は、以下の2点が問題と考えました。

  • 将来解体する時分別が非常に難しい(接着剤でコンクリートとくっついている)
  • 施工に時間がかかる

通気層のあるドライ工法もありますが、これも2点問題があります。

  • グラスウールに比べ3〜4倍の重さがあり、施工性が悪い
  • コストが高い

こなれたグラスウールで外断熱

結局は最も普及しているグラスウールを用い外断熱化するのが良いのではないかという結論に辿り着きました。

次の問題は厚さ200mmもの断熱材をいかにして固定するか、ということです。

国内に流通する固定金具は100mmまで、海外のファスナーと呼ばれる金具はコンクリート壁に穴を開けるため施工効率が悪い。

と言った問題がありました。

最終的には私たちが自分で考え固定金具を開発しました。

この新開発の金具によりようやく自分たちの思う外壁が出来上がりました。

  • 200mmの断熱材を保持できる
  • 施工性がよい
  • 安価なグラスウールが使える

このようにして我々は北欧ホームズの断熱構造を決めました。

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